万田発酵

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「家畜の飼育方法」にて特許取得!!
2025年04月18日
~食用豚などの家畜飼育において使用される抗生物質※1に、弊社製の植物性発酵物(発酵組成物)が代替できることを確認‼~
※1:家畜の成長目的に、餌料に混ぜて継続的に使用する抗生物質

万田発酵株式会社(本社:広島県尾道市因島、代表取締役社長:松浦 良紀、以下「弊社」)は、弊社が製造する「植物性発酵物(発酵組成物)」(以下「FBP」)を主原料とする、腸内で特定の短鎖脂肪酸を増加させる飼料用(家畜用)植物性発酵組成材を用いた食用豚などの家畜の飼育方法の研究を行った結果、FBPが上記抗生物質※1の代替材となり得ることを確認し、このたび、家畜の飼育方法に関する特許を取得いたしました!(特許第7616722号)

※1:家畜の成長目的に、餌料に混ぜて継続的に使用する抗生物質

図1.「特許第7616722号」に関する特許証

1.家畜の飼育に用いられる抗生物質とは

牛や豚、鶏などの家畜の飼育に用いられる抗生物質とは、成長を促進する目的で与えられる薬剤です。代表的なものとしては、アビラマイシン、エンラマイシン、バージニアマイシン、コリスチンなどがあります。
ただ、これら抗生物質を過剰使用すると、耐性菌が出現して抗生物質の効果が弱まることで、毒素・腐敗物の発生を防ぐことができなくなり、家畜が下痢をしてしまうといった問題を抱えています。また、昨今の自然食ブームも相まって、抗生物質を与えた家畜に対して消費者の購入を躊躇させるなどの心理的影響も懸念されます。

2.発明内容とは

本発明は、家畜の腸内において特定の短鎖脂肪酸の増加を促す特性を持つ家畜飼料用のFPB※2、および、そのFBPを畜肉の生産量1kgあたり1.56~2.25gの割合で給餌することで、抗生物質を使用せず、またはその使用量を削減できる家畜の飼育方法に関するものです。 本発明では、短鎖脂肪酸を増加させる作用を有するFBPを用いることにより、抗生物質に代わる手段として機能する家畜の飼育技術を開発しました。
※2:FBPは、黒糖、果糖、リンゴ、パインアップル、玄米、大麦、ミカン、カボス、ゴボウ、ニンニク、豆類、海藻類など多様な植物性の素材を発酵・熟成させて得られたものです。

実験内容

FBPの有用性を確認するため、23日齢の子豚を対象に実験を実施。
試験区では抗生物質無添加の飼料にFBPを0.125%添加、対照区では抗生物質(アビラマイシン40ppm)を添加した通常飼料を使用して、50日齢まで飼育した。
結果として、両群の体重増加、飼料要求率に差はなく、成長成績は同等であった。(※図2)
腸内環境についても、糞便スコアおよび糞便中IgA濃度に大きな差は見られず、腸管免疫は安定していた。(※図3)
さらに、FBP投与群では盲腸内容物と静脈血中の短鎖脂肪酸(酪酸・酢酸・プロピオン酸)の濃度がやや高まる傾向を示し、腸内バリア機能の強化が示唆された。(※図4)
解剖学的評価や血液生化学検査でも有意差は見られず、安全性も確認された。
これらの結果から、FBPは抗生物質に代わる飼料添加物としての有用性が示された。
図2.試験区、対象区の体重推移と資料要求率に関するグラフ
図3.試験区、対象区糞便スコアグラフ
図4.試験区、対象区の盲腸内容物および静脈血数値

3.結論

FBPには、抗生物質※1を使用しなくても家畜の健康維持や成長促進に資する効果があり、抗生物質の代替素材とすることができる。< /br>すなわち、FBPは、腸内の有用菌を活性化し、この有用菌からの短鎖脂肪酸の生産を促し、栄養素利用が推進され、良好な腸内環境を図ることができると考えられます。

4.今後の展開/展望

弊社は、今後、家畜飼育の現場における抗生物質※1の代替資材としてFBPの普及を目指していくとともに、より安全で持続可能な家畜飼育の実現に向け、引き続きFBPの機能性および応用可能性に関する研究を継続していく予定です。